Exhibit 02-A Archive
本シミュレーターは、ゲーム理論における「囚人のジレンマ」を2次元グリッド上で展開し、多様な戦略を持つ個体がどのように生存競争を行い、分布を広げていくかを観測する装置です。
このシミュレーションの根本にあるのは、個々の”最適”な選択が全体の調和を損なうという葛藤です。ここでは、村の未来を切り拓くために各々が「知恵と力」を出し合うコミュニティの形成を例に説明します。
【状況】住民は自らの知恵を共有し、それを形にするための「汗(労力)」を惜しみなく提供する必要があります。
【ジレンマの正体】
個人としては、相手がどうあれ「出し惜しみ」をする方が短期的には有利になります。しかし、全員がその合理性を追求すると、世界全体のステージが上がらず、結果として個々が辿り着けたはずの「真の豊かさ(報酬 R)」も失われてしまいます。
合理性のその先にある景色を見に。真の豊かさを手にするための対話を、ここから。
| 戦略名 | 概要 | 行動ルール(アルゴリズム) |
|---|---|---|
| 協力 (COOP) | 純粋利他 | 状況を問わず、常に「協力(C)」を選択する。 |
| 裏切り (DEFECT) | 純粋利己 | 状況を問わず、常に「裏切り(D)」を選択する。 |
| しっぺ返し (TFT) | 互恵主義 | 周囲の協力率が50%以上なら「協力(C)」、50%未満なら「裏切り(D)」。 |
| 引金 (GRIM) | 断罪主義 | 一度でも裏切りを観測(記憶)した相手に対しては、永久に「裏切り(D)」を選択する。 |
| 返返 (TFTT) | 寛容主義 | 周囲の協力率が極端に低い(25%未満)場合のみ「裏切り(D)」を出す。 |
| パブロフ (PAVLOV) | 実利主義 | 前回の自分の手と周囲の平均的な行動が一致(勝利)すれば維持、不一致(敗北)なら変更。 |
| 気質 (DISPOSITION) | 個別特性 | 個体ごとに固有の協力確率 P (0〜1) を持ち、その確率で協力する。 |
| 鑑定士 (APPRAISER) | 知性分析 | 隣人の行動履歴をスコアリングし、平均信頼度が一定基準を下回れば「裏切り(D)」。※下記参照 |
| 宗派 (SECT) | 集団連帯 | 自身の年齢に基づき3手の握手プロトコル [裏切り-裏切り-協力] を実行。仲間と判明すれば協力する。 |
鑑定士の行動原理は、「個別評価の蓄積」と「場の空気への適応」という二重構造で成り立っています。隣人ごとに信頼スコア s(-10〜10)を保持し、協力で+1、裏切りで-1。スコアが1を超えれば協力、-1を下回れば裏切り。判定保留圏では場の空気に同調します。これにより、初期の混沌下でも安定した核を形成します。
気質の微細継承: 模倣の際、気質の協力確率は 1/128 (約0.0078) の極微なゆらぎを伴って継承されます。
突然変異 (MUTATION): スライダー設定に基づき、血統に関係なく全く新しい戦略の個体が誕生します。
慈悲的介入 (MOOD): 世界全体の協力率が高いほど協力時の報酬(R)が増大し、裏切られた際の報い(S)が緩和されます。
多様性指数 (DIVERSITY): 全戦略の分布割合をシャノン・エントロピーで算出し、世界の豊かさを 0〜100% で表示します。
この観測装置は、個別の「意志」がいかにして「環境」を形成し、
その「環境」がふたたび「意志」を規定するかを可視化したものである。
「個」の合理性という檻を突き抜け、共に「真の豊かさ」を観測する旅へ。